不動産を売却するために考える事【諸費用編】

前回の記事(不動産を売却するために考える事【時期編】)に続いて今回は費用編!
不動産を売却する際に発生するお金について解説していきます。
売却するのにも意外とお金がかかります。基本は天引きのようなシステムで
売却されたお金から引かれるのですが、中には違うものもあるので解説させていただきます。

この記事では

  • 不動産売却で発生する費用と支払いタイミングについて
  • 知っておいた方が良い不動産費用のマメ知識について

について解説していきます。早速どうぞ。

不動産売却の諸費用

以前事務手数料の記事で紹介しました。軽くおさらいしましょう。

名目支払先目的・備考
仲介手数料   不動産業者   仲介してもらった際の手数料。仲介しない場合(直接売主から購入など)
は必要なし。購入する物件が400万以上なら3%+6万×消費税。
(詳しくはコチラ
ちなみにこれが限度額なので端数を割り引いたり、手数料無料にしても問題なし。
測量費測量会社土地の面積や境界を測る業務。専門の測量士に依頼する。
ちなみに”現況測量”と”確定測量”という2種類がある。
私は絶対『確定測量』にして下さい!と伝えてます。
税金公共機関売却した際に『譲渡税』がかかります。売却で得た利益に対して課税。
不動産の所有期間によって税率が異なり、5年以内なら約40%
それを超えれば約20%と覚えましょう。
売った年の1月1日で所有期間を計算する点に注意。
こちらも軽減措置があるので、該当するかしっかり確認を!!

今回はせっかくの【諸費用】に関する記事なので、もっと細かい費用も見ていきましょう。

名目支払先   目的・備考
印紙郵便局契約書に貼る印紙です。契約書は基本買主用と売主用の2通用意し、
お互いの契約書に各自で印紙を貼ります。金額によって貼る印紙の額が異なります。
不動産の譲渡に関する契約書に貼る印紙は減税されますが、期限があります。(一応)
しっかり確認しましょう。
抵当権
抹消費用
司法書士もし売却する不動産に抵当権【担保している】がある場合
司法書士に抹消の依頼をします。
住所や氏名の
変更登記
司法書士売却する不動産を購入した当時と現在の氏名や住所が違う場合は
変更の登記が必要です。
権利書
紛失時
司法書士不動産に関する ”権利書” を紛失してしまった場合、司法書士が
専用の書類を作成します。今は ”登記識別情報通知書” といいます。
所有権
移転費用
司法書士地域によっては所有権移転費用を折半【買主と売主で半分ずつ負担】する地域も
あります。契約書にも記載される事項ですので確認しましょう。
最初のブロックに比べて比較的安く、数千~数万円程度のものが多いです。

併せてこれもおさらいしておきましょう。不動産売却の流れについて。
コチラも前回の記事で紹介させていただきました。

今回の問題はどこで何を支払うかについてですね。上の売却の流れに支払いを当てはめていくと

  • 仲介手数料・・・決済時
  • 測量費・・・準備時
  • 司法書士への費用・・・決済時
  • 印紙・・・契約時
  • 税金・・・決済の後

細かく見ていきましょう。

仲介手数料

仲介手数料は支払いに2パターンあります。契約時に半分払い、決済時に残りを払うパターンと
決済時に全て一括で払うパターンがあります。

仲介手数料は基本高額なので、多くの方は売却した費用の中から支払います。

なので基本的には決済時に支払います

測量費

測量費は基本的に測量が終わった段階で支払います。
なので決済よりも前、つまり売却したお金が入ってくる前に支払うことになります。

ただ、測量費用もお高めなので測量士によっては売却後でもいいと融通が利くところもあります。
もし測量費用(大きさにも測量士にもよりますが20~数十万円程度)に不安があるなら
事前に不動産業者か測量士に相談しましょう。

司法書士への費用

こちらは仲介手数料と同じく決済時に支払います。

この項目は関係ない人には全く関係なくなります。

前述したように ”抵当権が設定されている人” だったり ”購入時と氏名や住所が異なる人” 
”登記識別情報通知書【権利書】を紛失した人” などが該当します。

ちなみに他の測量費や仲介手数料と比べて少額です。(数万円程度)
ただこちらもピンキリなので、しっかり見積もりを出してもらいましょう。

印紙

こちらは契約時に支払います。もっと言うと契約前に購入して準備しておくものになります。

郵便局で普通に変えるので購入しておきましょう。

ちなみによく使われる1万円や2万円の分は1枚で購入したほうが良いです。
印紙は水にぬらして貼るので、あんまり多いと契約書が汚くなります。
気を付けましょう。

税金

今回の記事で一番伝えたかった項目です!!

ここでいう税金とは『譲渡税』のことです。売却益に対して課税され、先述した通り
所有期間によって金額が変わります。5年以内だと約40%、それを超えると約20%かかります。

どうしてこの費用が今回一番伝えたかった項目なのか?

無論、この『譲渡税』に関するトラブルが多いからです。

なぜトラブルが多いのか?どんなトラブルが多いのか?
解説する前にこの税金がどういった流れで請求されるのか見ていきましょう。

不動産を売却した後、その年の年末に確定申告をします。
ここでは詳しくは書きませんが、売却益、購入費用、諸経費などを記入して申告します。

だいたい確定申告は2~3月中旬に行いますよね。
地域にもよりますが、その年の6~7月頃に”譲渡税を納めてくださーい”と通知が来ます。

こうして譲渡税は納められるのですね。

どんなトラブルが起きるのか?

ずばり譲渡税が払えないといったトラブルが起きます。
いざ通知が来た時に、お金を使い切ってしまい払えません、といったトラブルが起きます。

譲渡税は場合によっては高額になります。
例えば1000万円の売却益が出た場合、長期譲渡(税率約20%)だとしても200万円納めます。

いきなり200万円払えというのは難しかったりしますね。
こうして譲渡税が払えず追加で税金を払ったりしないといけません。大変ですね。

なぜこのようなトラブルが起こるのか?

そんなトラブルはなぜ起こるのか?主に2つの原因があると考えています。

① 売却から納税までの期間が長い場合がある。

例えば2022年の12月に売却した場合は2023年の確定申告の時に申告します。
売却が終わって2ヶ月後です。まだ記憶も鮮明ですし意識もしてるでしょう。

ところが例えば2022年の2月に売却した場合、申告をするのは2023年の2月頃。
つまり1年後になりますね。
その頃には忘れていたり、書類を失くしていたり、前回の確定申告とごっちゃになって
申告は終わったと勘違いしたりします。

サラリーマンの方だとなおさら申告業務は ”普段会社がやってくれる事” ですので
そもそも意識が無い方もいると思います。

こうして申告を忘れていきなり請求されてあたふたするわけですね。

② 不動産屋が忠告しない

これも結構多いと思います。

不動産屋は基本 ”売ったら終わり” と思っております。
売却するまでが仕事で、その後の事なんかあまり考えないという思考が
昨今の様々なトラブルを引き起こしているのでしょう。
売れてノルマを達成できればOKなのですね。

そんな考えなので売れた後の事を話しません。
というより、そこまで頭が回らないのでしょう。
知識として譲渡税がかかることぐらいは知ってるかもしれませんが。(そう願います)

本当は売却相談のヒヤリングの際に『借金はあるか』などを聞いて
残ったお金の予測を付けて譲渡税の話までできたらいいのですが
皆様にはぜひそう言った不動産屋を見つけてほしいものです。

あとがき

不動産の売却はどちらかというとマイナスな動機が多いです

例えば離婚したり、古くなって住宅を解体したり、お金に困って資金にしたり・・・
そんな中で気が動転してしまいます。取引自体もエネルギーがいるので
なかなか売却費用、とくに売却後の譲渡税には気が回りません。

『資産を残してお子様に残す』そういった気持ちは素晴らしいですが
必要最低限はしっかり残しておきましょう。

お読みいただきありがとうございました。

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