軍用地投資【基本編】

以前の記事で沖縄の不動産に関する少し変わった事情をお話ししました。
その中で今回は軍用地投資について。
米軍基地が多い事でも知られる軍用地。
その基地を利用した沖縄ならではの不動産投資法です。

この記事では

  • 軍用地投資とは?
  • どうやって利益が出るの?
  • 購入のポイントとは?

といったことについて解説しています。早速どうぞ。

軍用地投資とは

先ほどは簡単に説明しました。もうちょっと詳しく説明しましょう。

沖縄には米軍基地が多く、日本全体で見ても70%の基地が沖縄にあるそうです。
沖縄県の面積の約8%が米軍基地であり、人口の9割が居住する沖縄本島では
約15%を占めているそうです。(米軍基地の現状と日米地位協定 – 沖縄県 より)

ここで問題。この米軍基地がある土地は一体誰のものなのでしょうか?
米軍?沖縄県?
全ての所有者を知る訳ではないのですが、個人、または会社や団体が持っている
場合が多く、そういった土地が今回解説する『軍用地』となります。

米軍が所有しているわけではないので、所有者との間に賃貸が成立します。
そのため米軍が所有者に賃料を払うことでこのビジネスモデルが成立します。
これが軍用地投資なんですね。
ちなみに米軍が賃料を支払っているわけではなく、支払っているのは日本国です。
『おもいやり予算』といえば知っている方もいらっしゃいますかね?
厳密に内訳は知りませんが、マッチポンプのような構図ですね。

こうして土地を持っている地主のもとへ国から借地料が支払われます。
その米軍基地の用地となっている土地、いわゆる『軍用地』を購入して
資産運用するのが軍用地投資という投資方法です。

軍用地投資の利益について

軍用地投資はどちらかというとキャピタルゲインを狙った投資です。
つまり基本的には『安い時に買って高い時に売る』といった投資です。
賃料はマンションなどと比べて、金額に対して収入は低いです。
ですのでマンション投資などのように利回りを考えて始めるような投資ではありません。

軍用地は借地料(地代)が年々上がっています。そのためその軍用地も年々価値が上がっており
その差分でもうけを出します。
軍用地の販売では『地代 × 倍率 = 販売価格』という方程式で
土地の販売価格を決めていきます。
ここでいう地代は上昇率は微々たるものですが、倍率(いくらで販売したいか)が
エリアの人気に応じて上がっていきます。この上昇率が凄まじいのがここ数十年の軍用地投資で
十数年前までは25倍前後だった物件が、今では50倍に近い倍率まで上がっている
なんてこともあることが、この軍用地投資の魅力でもあります。

さすがにここ最近はそんな急激な上昇はありませんけどね。
でも昔と比べるとずいぶん上がったな~と思いますし
おじいちゃん世代に話を聞いても『まさかこんなに上がるとは』とか
『あの時売らなかったら良かったな』といった話はよく聞きます。

その他にも軍の移設が無い限り国から安定して地代がもらえる安定度なども魅力です。
また税金対策や処分の容易さなど、軍用地投資は沖縄では根強く人気ですね。
(この辺の解説はまた次の記事で)

まだまだ上がり続けると予想される軍用地投資。
特にここ最近では物騒なニュースが続いております。
知り合いの同業者から聞くには売れ行きはあまり芳しくないようですね。
近く県知事選がありますが、どうなることやら・・・

軍用地購入のポイント

沖縄では軍用地専門とまで言われるぐらい軍用地に特化している不動産屋がありますので
詳しくはそこに問い合わせた方が良いかと思います。

ここでは本当に入門編という項目をいくつかご紹介していきます。

① 返還されるか

軍用地には『返還されるかどうか』という基準があります。
返還予定地といいますが、これは近く軍用地ではなく私有地となる予定の土地の事です。

当然それ以降は地代は入ってきません。
それだけならまだマシで、こういった返還される土地は森みたいな土地が多い印象で
返してもらってもどうにもできない土地も中にはあります。

利用できる土地ならその後の復興工事も狙って購入しても良いですが
どうにもならない土地はかなり苦労するでしょう。

ひとえに軍用地といっても、米軍基地の境界であるフェンスに囲まれているかどうか、
敷地に建物が建っている、または道路用地として使用されているか
(建物が建っていたりすると基本は使用しているので返還の可能性は低いですよね。
まぁ100%と言う訳ではないですが・・・)
こういった点も重要になります。不動産の情報サイトにも記載してありますので
参考にしてください。

② 地代、倍率は上がっているか

年々地代が上がっているかもポイントとなります。
取り扱っている不動産会社に直接問い合わせるのが良いと思います。
ネットで調べてみたのですが、なかなか出てこなかったので(単に探し方が下手なのか?)

倍率は地代のように明確ではなく、あくまで業者の肌感覚です。
『高くても売れるようになってきた』か『安くないと売れなくなってきた』
といったことを業者が傾向から判断し、値付けをしています。

なので例えば『倍率48倍でも売れるようになってきたな~』と業者が感じて
48倍の値段がつけられたりします。逆に
『45倍まで下げないと反応悪くなってきたな~』と感じると
45倍で売りに出されることになります。

いずれにしても先に情報収集をしてみましょう。
ネットで沖縄の軍用地専門の不動産屋を調べ、実際に物件を見てみるといいですね。

補足:軍用地を買いたい人はたくさんいる

軍用地は沖縄ではとても人気の不動産投資法です。実際にこの投資法で多くの財を成した方が
たくさんおられます。中には『軍用地しか買わない!』といった方も多いです。

先述した軍用地専門の不動産会社にはそういった顧客は多く抱えており
新着物件も真っ先にその方に情報が入ると思います。
ですので市場にある物件は基本的に売れ残っていてそんなにお得では無い物件
である可能性は考慮しておいた方が良いかもしれません。
これは以前の記事にも通ずるものがあるのですが、不動産を購入したいお客様を
不動産会社はそれぞれ抱えており、軍用地ではそれが特に多いです。

理由として、例えば戸建だと一度購入して終わりですが、軍用地を購入する方は
その後もどんどん購入していきます。ですので顧客リストは増える一方ですし
長いお付き合いのお客様はそれだけ上客という事になります。

もちろん常連のお客様も全ての軍用地を購入する訳ではないですし
なんなら普通の不動産を購入するよりシビアに物件を評価していきます。
新参者も全くチャンスがないわけではないでしょう。
お得かどうかは常連さんが購入しない時点でお察しかと思いますが。

このようにライバル(しかも強力な)よりもいい物件を入手するために
しっかりパイプを作っておかないといけませんね。
『そもそも良い物件は市場に情報が流れる前に売却される』のが不動産ですので
良い物件を購入するためには業者とも仲良くお付き合いしないといけませんね。

あとがき

今回は軍用地投資の基本的なところをご紹介しました。
基地が多い沖縄ならではの投資法でしたね。

次の記事では人気の秘密や気を付けてほしい事、基地にまつわるあれこれなどを
解説していけたらいいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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