本日は前回の 仲介手数料【前編】 の続きの記事です。
前編の話もちょこちょこ出るので、ぜひ前編も見てみてください。
この記事では
- 仲介手数料はサービスに影響するか
- 仲介手数料はどうするべきか(値切ったほうが良いの?)
- 手数料無料の業者について
について解説していきます。早速どうぞ。
仲介手数料無料はサービスに悪影響!?
仲介手数料が無料になるサービスは前の記事でご紹介しました。
皆様も当然『諸費用の大半』が無料となるこのサービスは嬉しいはずです。
ただ反面、サービスの面も気になりますよね?
「只より高い物はない」ともいうくらいです。手数料が無料になったからと言って
せっかく大金をかけた不動産取引がトラブルばかりだと精神的にダメージがデカいです。
仲介手数料無料という事は、買主か売主か、いずれかからの報酬が無料になるという事です。
両者無料は正直あり得ないでしょう。商売が成り立たなくなりますから。
前回の記事で紹介したように、無料のケースは大きく2つパターンがあります。
(よく見るケースとしてもう一つ、売主の直接販売があるのですが、これは仲介手数料無料というよりそもそも仲介ではないので金額が発生するわけはない、という事で省いてあります。)
ケース① 『売主は仲介手数料無料!』と広告を出している。という場合
その名の通り売主がメリットを享受するので、それに対する影響も売主に出てきます。
前の記事でも少し書いてましたね。デメリットだらけです。
もっと細かく言うとメリットに対してデメリットがデカいと思います。
まさに「只より高い物はない」ってことですね。
前の記事には書いてないデメリットを紹介しましょう。
ただ原因は同じく「片方から手数料をもらえない」といったことなので紹介していきます。
囲い込みをすることでのデメリット。実は物件を紹介しないだけではありません。
大きいのは ”取引を成約させるのに苦労する” ということ。どういうことなのか?
囲い込みをしているので、ただでさえ問い合わせの本数は少なくなります。
数少ないチャンスを確実にものにしなければいけません。
ではその問い合わせた数少ないお客様との商談中にどういったことが起こるのか?
不動産の交渉ではよく”値引き”が行われます。
営業マンもその価格を織り込んで金額を出しているケースもあるでしょう。
具体的には「2800万円で売り出して、2700万円ぐらいで成約できたらいいな」
といった感じ。
『売主手数料無料』の業者はこの値引きを嫌がる傾向があるな~と感じます。
ただでさえ半額になった手数料がさらに減るのですから納得です。
本当は売主と交渉して妥当な金額で売却すればいいものを
みすみすチャンスを逃しがちですね。
「そういった業者もそのぐらい考えて値付けしているだろう」と思われそうですが
囲い込みをする業者はお金にはうるさく値下げに応じない印象です。
取引していないのにどうしてそう思うかというと、こういった業者が出す物件は
長い間、ネット上で掲載されており、しかも金額も変わらないことが多いです。
普通は反応を見て、少し厳しそうなら売主と交渉し、値段を下げて募集します。
そういう物件を見ていると「売主のためにも早く売れないかな~」と
他人事ながら心配してしまいます。
逆に値下げをしてくれる業者なら、ちゃんと他社にも紹介して買主との手数料を折半しそうです。
まぁこれも諸刃の剣です。買主側の業者も「折半かよ」と仲介に乗り気にならない場合もあります。
ちゃんと商売してくれよと思う反面、こちらも商売なので仕方ないのかもしれません。
話題が少しそれちゃいましたね。金額交渉の件について。
全部が全部とは言いませんが、そういったことをされると売主も困ってしまいますね。
早期売却のチャンスがあるのにそれを業者側の都合でふいにされる。気を付けましょう。
余談ですが、売却が遅くなると悪影響は負の連鎖のように膨れ上がっていきます。
もし不動産を本気で購入したい方なら、ネットの情報は隅々まで目を通してます。
そんな中で、いつまでたっても売却されない不動産を見かけたならどう思うか?
もちろんすぐに売れない類の物件はあります。大型物件などがこれに当たりますね。
豪邸だったり、広大な敷地だったりすると、それを購入できる方の目に留まるのに
時間がかかりますよね。
ですが普通に売れそうな物件、特にネットで隅々まで見ている人が求めている
”自宅用にちょうどいい物件”がいつまでも残っていたら。
控えめに言っても売れ残りと思うでしょうね。少々難ありなんだなと。
まぁそんな物件も売れていくところを見ると、誰かがババを引いているようですね。
ケース② 売主が業者の場合
これに関しては新築物件が多いですね。木造新築住宅ですね。
沖縄もここ数年で一気に増えてきましたね。
そういった物件のポータルサイトではよく『仲介手数料無料!』と書いてありますよね。
この場合は買主が手数料無料になります。
これに関しては、あまりデメリットらしいデメリットは見えません。
あえて挙げるなら接客が多少淡白になりがち、とか後々のトラブルに対応できない(後述)とか。
どっちかというと、この場合仲介業者は薄利多売としてやっているため
サービス(この場合はやるべき業務)がおろそかになることは少ないと思います。
私ならもし購入するならそんな業者を通して購入したいと思います。
ただ多くの方々との違いとして、「しっかりした知識を持っている」からという事を
言っておきたい。それは例えば何かトラブルがあっても対応できるし
不親切な不動産屋が教えてくれない節税術も知ってるし
そういった諸々の要素がある中で、手数料無料のデメリットが少ないからです。
後述するタイトルにも少し関連するのですが
しっかり業者を選んで取引したほうが良いですよ。
仲介手数料は支払うべき?
ここまで読んでみると、仲介手数料は支払うべきなのか?
メリットデメリットがありますよね。
値切れるものなら値切りたい。安ければ嬉しいと思うのは当然ですので
結局のところ、どうするべきなのか。
ここでは私の持論として答えましょう。一つの意見として参考にしてください。
私は手数料は払ったほうが良いと思います。
それは自身が不動産業を営んでいるからと言う訳ではありません。
これに関して2つの観点から説明します。
まず一つは「相応の対価を与える事」
しっかり仕事をしてもらったんだから、それ相応の対価は払ったほうが良いよね
という考え方です。
不動産売却に至るまではかなり手間もかかります。
広告費や人件費はもちろん、調査なども手間がかかります。
そして何より責任が重いです。大きな財産なのだから仕方ありませんが。
極端に言うと5000万円の物件を紹介、仲介してもらって
仲介手数料を5万で良いよ!と言われたら。なんか不審に感じませんか?
私の例を一つ。
弊社では仲介手数料は基本的に満額でいただいています。
ただし『取引相手を自身で探してきた場合』は仲介手数料を半額にしています。
これは『集客』が報酬をもらう価値の半分はあると考えているので
それが無い分としての対価をもらうという事になります。
もう一つは『良好な関係を築くため』
不動産業者とは長いお付き合いになります。その後の住環境のアドバイスや
良い業者の紹介を受けれる点でもメリットが高いです。
例えば住宅でトラブルがあった場合
手数料を払っていればすぐに業者を手配してくれたりするかもしれませんが
払っていなければ『売主に直接言ってください』で終わるパターンもあり得ます。
もちろんその不動産業者の人柄だったり社風も大いに関係してくると思いますが
私なら仲介手数料を値切られて良い付き合いをしようとは思いません。
他の業者様はどう感じるかは知りませんが、私は
『あなたの仕事にはお金を払う価値がないんですよ』と言われている感じがします。
皆様はどう思いますか?
手数料無料の業者について
一概に手数料無料の業者を嫌煙するのは間違っているとは思います。
事実、私は購入する際にはそういった業者を使うかもしれません。
大切なのは『自身でしっかり学び、メリットとデメリットを理解すること』
だと思います。
また『手数料無料じゃない業者が安全』と言う訳でもありません。
見極めるのは難しいかもしれませんが、これも自衛の手段としては自身での学びだと思います。
ぜひ、良い不動産会社を見つけてほしいものです。
あとがき
不動産業界に限らず、この十数年で世界を取り巻く環境は大きく変わりました。
無論、インターネットの台頭でしょう。
一昔前には不動産業者だけに存在した”情報”というアドバンテージが
今はほとんどなくなっています。
手数料無料の業者について。私はあまり好きではありませんが、うかうかしてられないのも事実です。
時代の流れで不動産業での仲介手数料を取れなくなることは大いにあると思ってます。
根源として『その仕事の価値』に対して報酬は支払われるものだと思っています。
仲介手数料が取れない原因として『その仕事に価値がなくなった』
もっと言うと『もうその仕事はAIが全自動でやってくれる』といったレベルまでくれば
いつか限りなく無料に近づくかもしれません。
これは不動産業界に携わる自身にも言い聞かせていますが
しっかり付加価値を付けて、期待以上の価値を提供する。
常に意識して業務に当たっています。
進化していかないと取り残される、しかも急速に。そんな時代ですからね~。
お読みいただきありがとうございました。
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