不動産を売却する際に行う『測量』
以前の記事で、不動産の金額を決定する際に測量が必要だと書きました。
たいていの不動産屋は土地売却の際に測量業者をあっせんしてくれます。
なので基本は任せてもいいのですが、基礎知識を身に着けていた方がいいと
思ったので書いてみます。
この記事では
- 測量の種類と違い
- 気を付けるべきポイント
を解説していきます。一つ断っておくのですが、あくまで不動産屋からの視点で
測量についてを解説していきます。基本的に『これさえ押さえておけば不動産取引で
失敗は少ないだろうな』と思うものを書いています。
測量についてもっと詳しく知りたい方はさらにググってみましょう。
早速どうぞ。
そもそもの発端
そもそもなぜ私がこんな話をするのか?
先述したように不動産屋が手配してくれるなら必要ないような気もします。
ところが意外と『ご自身で測量を依頼して、完了したものを持ってくる』方もいます。
どこかの不動産屋で『必ず測量が必要だから』とか言われたり、ネットで調べてみたら
書いてあったから、と言ってやってきたりします。
間違ってはいないのですが、割とハマるひっかけがあります。
その点だけ注意しましょう。
測量の種類
一般的な測量は『現況測量』と『確定測量』の2種類あります。詳しく見ていきましょう。
現況測量
現況測量は簡単に言うと『お隣との境界っぽいものを探して図面を復元する』というもの。
ブロックとか、境界プレート(目印)などを探していき、それを図面にします。
その結果得られる測量の図面の事を『現況測量図』と言います。
2つの測量方法の中で、現況測量はイメージ的に『簡易的な測量』と捉えると
分かりやすいかもしれません。
確定測量
確定測量は対象の土地を囲む全ての隣地との境界線を明確にする測量です。
所有者同士が現地を確認して、両者で承認した境界の地点でポイントを打ちます。
こうすることで後々に越境してるなどの境界トラブルは起きにくくなります。
不動産を売却するときは必ず確定測量を使いましょう。
気を付けたい失敗談
ここからは気を付けたいトラブルについて。
今まで依頼されたお客様の中から、意外と多いトラブルをピックアップしました。
ケース① 測量しないで売却する
そもそも論なのですが、測量せずに売却したりします。
大阪の時は中古住宅では測量しませんでした。(新築では基本しません。土地は扱いませんでした。)
理由として隣地が明らかである事が挙げられます。
それでも本当は測量したほうが良いのですが、境界プレートもしっかり残っており
地積測量図などと照らし合わせても誤差が無いようならいいかもしれません。
測量も費用が掛かりますからね。
ただ原則として測量することをおススメします。
たまに『測量しなくてもいいんじゃん』とか言って売却しようとする相談者がいます。
困るのは購入者なのです!!
怠ると後々購入者が隣人トラブルに巻き込まれる可能性があります。
巡り巡って自分のところに責任追及が来るかもしれませんよ?
しっかり測量しましょう。
ケース② 現況測量と確定測量を間違える
これは良くあるミスです。覚えておきましょう。
何故間違えるかというと、現況測量のほうが早いし安いからです。
なので皆様そちらをやってしまう。
「測量はやったんだから大丈夫だろう」となってしまうのです。
また、測量士もいちいち聞いてこない場合があります。
測量士さんも安い方が良いと思う方もいるかもしれません。
それに確定測量ともなると結構長引きます。
通常の測量業務を終えた後、隣地の所有者へと連絡をします。
日程を合わせて立会をしてもらい、確認の後に作業が完了します。
そういった面もあり、測量士さんも「とりあえず測ればいいんだな」
と考えると、現況測量になる場合もあります。注意しましょう。
また、たまに測量士さんから
「現地に測量ピンが無かったので、設置しておきましたよ。」
と言ってくれたりします。
こう聞くと「しっかり立会いの下、設置してくれたんだな」と安心しそうですが
これは確定測量による「立会証明」を依頼してない場合は
単に測量図に沿って設置している可能性が高いです。
こうなると隣地の方はピンを見ても「ここは本当の境界点じゃない」
ともめてしまうケースもあります。
測量を依頼するときは「確定測量」
ちらっと出たのですが「立会証明書」もしっかり依頼しましょう。
ケース③ 測量から売却までに期間が空く
たまにこんなお客様がいます。
「○年前に測量したので大丈夫です!」
ふたを開けてみたら現況測量だった・・・とかね(笑)
まぁもちろんそういう事ではなく確定測量だった場合も注意が必要です。
このケースには2パターンの懸念材料があります。
まず一つは、昔の測量技術が今より正確ではない事
今ではGPSを使って緯度、経度まで正確に把握する測量が一般的です。
それも2000年代に入ってからの話だそうです。
もちろんそれ以降も技術は進歩していますので
より正確に値を出すことができるそうです。そういった点から
あまり測量時から期間が空いている場合は、再度測量したほうがよさそうです。
実はもう一つの懸念の方が大切です。
それは、お隣さんが変わっている、もしくは忘れている場合です。
お隣さんが変わっているのは”変な人”という意味ではありません。(それでも嫌ですが)
所有権が移転して別の方が所有者となっている場合です。
例えば相続などで息子(娘)に所有者が変わっていた場合
一般的な方ならそこまでもめないのでしょうが、厄介な人だと困ります。
隣人の相続人が変な人だった・・・そういった話はよく聞きますよ。
結局自身が折れて余計な金額を払うなり、相手の境界を了承して土地が狭くなったりします。
また、お隣さんが忘れている場合もあります。
2~3年前の測量の件なら覚えているかもしれませんが
7年より前の事案なら忘れていてもおかしくないですよね?
先程と同じでまともな方ならそこまでもめないのでしょうが(以下略)
私にご相談いただく方には、半年~1年以内の測量を推奨しています。
それより前だと測量しなおしてもらいますよ。
ちなみに、基本は売却の契約が決まった後に測量を開始します。
前もって測量していただくのもありがたいのですが、測量にもお金がかかりますからね。
そうとは知らず、数年前に測量した資料をもってご相談にくるお客様がいます。
あなたは今、このことを知ったのでラッキーでしたね!!
測量をする際の注意について
- しっかり「確定測量」、「立会証明あり」の測量を依頼しましょう。
- 売却までの期間が空きすぎるとトラブルのもとに。計画的に依頼しましょう。
あとがき
不動産売買において隣人トラブルはつきものです。
全てではないけれど、この作業で少しでも、少なくとも越境のトラブルが解決できれば
悩みの種は一つは減るでしょう。
ちなみに売却サイドばっかり説明してしまいましたが
購入時にもこの確認はしっかりしましょう。
契約書にも測量に関しての記述があるはずですし、何より一番困るのは自身ですから。
良い取引ができるといいですね。
お読みいただきありがとうございました。
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