不動産を仲介してもらう際に支払う『仲介手数料』
特に不動産売買では、諸費用の大半をこの仲介手数料が占めますので
かなり負担が大きいです。
『仲介手数料無料』という広告などを見たことはありますか?
もし諸費用のうち大半が無くなるとしたら、ありがたい話ですよね。
以前は不動産事務手数料とローン手数料について解説しました。
今回は不動産の仲介手数料について。
以前の記事で不正な報酬と紹介したのに対して、今回の仲介手数料は正式な報酬です。
この記事では
- 仲介手数料の詳細
- なぜ『仲介手数料』が『無料』になるのか
- 仲介手数料はどうすればいいの?(別記事で)
について解説していきます。早速どうぞ
仲介手数料の詳細
仲介手数料の仕組みを理解して読み進めましょう。
そもそも仲介とは?どうやって算出しているの?その点を理解していきましょう。
そもそも仲介とは
不動産業には『仲介する』という概念があります。車業界ではあまり聞きませんね。
仲介という言葉が聞きなれない方もいるかもしれませんが要は『間を取り持つ』
ことを言います。具体的には『購入者と売却者の間を取り持つ』
ことによってその成功報酬となる『仲介手数料』をいただくことになります。
注意してほしいのは『間を取り持ってもらうと報酬が発生する』という事で
例えば売却者が直接お客様に販売する際には、仲介業者が入らないので
仲介手数料が無料になったりします。
ネットで注意して探してみると『売主のため仲介手数料無料!』と書いてあったりします。
一見お得なように感じるのですが、仲介していないから仲介手数料はそもそもかかるはずもなく
アピールのために書いています。
ちなみに当然原価で売っているわけは無く、利益を乗せた金額で売却するため
仲介手数料よりはかさ増しされている可能性はありますよね。
余談ですが仲介手数料は『成功報酬』であるので、取引が成功した後に支払われるもので
成功しないと報酬は渡せません。細かくは契約書に書いてあるので、注意しましょう。
仲介手数料の計算方法
冒頭でお話しした『仲介手数料が諸費用の大半を占める』件について。
不動産の仲介手数料は、上限が法律で決められています。
賃貸の場合・・・家賃1カ月分 + 消費税
売買の場合・・・物件価格3% + 6万円 + 消費税(金額によって変動あり)
となっています。
賃貸の部分は割愛します。問題は売買について。
例えば物件価格が3000万円だった場合、仲介手数料は105万6千円。
他にかかる諸費用とは桁が違います。
金額によって変動があるといった点について。
実は先ほどの算出方法は速算式で、実際は
200万以下の部分・・・代金の5%
200万を超え400万以下の部分・・・代金の4%
400万を超える部分・・・代金の3%
となっています。
こちらが正式な報酬の定めです。
(右グラフ参照)
3000万の例を当てはめてみました。
仲介手数料はこうして計算します。
ちなみに、速算式の解説が右図。
最初に全てを3%で計算し、それぞれの価格帯との差額を足すように計算しています。
3%になるような計算=400万を超える計算では400万に至る部分の計算(200万×5%=10万、200万×4%=8万、計18万円)は確定なので3%で全て計算した場合400万×3%=12万との差額6万を足すことで速算式となっています。
ちなみにここまでの事が理解できれば、400万以下の物件の手数料も求められます。
例えば350万の物件価格だった場合を計算してみましょう。
- 仲介手数料は仲介に入ってもらった時に支払う
- 仲介手数料は物件価格 × 3% + 6万 +消費税(速算式)
仲介手数料無料のからくり
ではなぜ仲介手数料は無料になるのか?
これが分かれば『どんな時に無料になるのか』が分かってきます。
逆に私のところにはこれなくなりますw 無料にしないですからね。
どうして無料なの?
ここまでで解説してきた仲介手数料の内訳。
無料になるからくりの一つに『売却者から直接販売される場合は無料』
と解説してきました。
ではあんなに頻繁に見かける『仲介手数料無料』の業者は全て売却者なのか?
そういうわけではありません。ここで仲介手数料のもう一つのからくりが出てきます。
先ほどお話しした、仲介業とは『購入者と売却者との間を取り持つ』と書きました。
では両者の仲介をして報酬は誰からもらうか?
実は不動産業者は仲介手数料を両者に請求できます。
先ほどから出ている3000万円物件の例で話をすると
105.6万円を売却者、購入者から頂くことができます。
なので計211.2万円もらえるんですね。うらやましい。私ももらってますが。
ここまで読んで、勘のいい方は気づいたかもしれません。
そう、不動産業者は一方から取れなくても、もう片方から仲介手数料を取れればいいのです。
先ほど少し用語が出てきたのですが、仲介手数料について上限はあっても下限はありません。
ですので手数料を下げる分、つまり半額にしようが、無料にしようが違法ではありません。
先ほどの例でいうと105.6万もらうだけでも全然問題ないわけです。
上限である211.2万円の範囲内なら問題ありません。(一方から105.6万円の制限はあり。)
ではどういったときに無料になるのか?
仲介業者は両方を無料にすることはできません。当たり前ですよね。
ちょっと大別してみました。
ケース① 『売主は仲介手数料無料!』と広告を出している。
この場合は売主サイドへ『売主は仲介手数料無料』として集客していますので
その業者から購入する場合は必ず仲介手数料がかかります。
このパターンで厄介なのは他の業者を間に挟めない点。
不動産業者の仕組みについては別記事を見ていただくとして
通常、不動産取引には1~2業者が仲介業者として入ります。
1つの業者が売り手と買い手との取引をまとめる場合もあれば
売り手には売り手の仲介業者、買い手には買い手の仲介業者が付くパターンもあります。
両者にそれぞれ業者が付く場合は、各自依頼主に仲介手数料を請求します。
ところが一方からの仲介手数料で十分と思っていた不動産屋はどうでしょう?
先程『売主は仲介手数料無料』として集客していた不動産屋さんですね。
この場合、もし買い手側に別業者がいる場合、先ほどの原理では
売り手側の不動産業者は契約が成立しても報酬をもらえません。
ではどうするのか?パターンは2つ。
一つは買主からもらえる手数料を折半するパターン。
もう一つは別業者を一切入れないパターン。
特に業者を入れないパターンは『囲い込み』と言われております。
間口を広くして、別業者に客が来ても不動産が売れるかもしれないのに
そうすると報酬が入らないので物件の紹介をしない。
売主の利益を害する行為であり、大変迷惑な行為なのです。
そういう広告、業者には気を付けましょう。安ければいいってものでもないですね。
ケース② 売主が業者の場合
この場合は売主が業者の場合です。たびたび別記事の例が出てくるのですが
売主Aが色んな仲介業者に依頼しているパターンですね。
不動産は早い者勝ちなので ”我先に!!” といった感じで販売活動をします。
他社より優位に立つために、『弊社を通せば仲介手数料が無料』といった
特典を付けて販売活動をするんですね。
このケースでは売主も承諾しており、特に問題もありません。
主に新築物件が目立ちますね。気に入った物件が複数の業者から
広告が出されていたら、チャンスかもしれません。
あとがき
思ったよりボリューミーになってしまったのでいったんここで終わります。
続きは近いうちに書いていきますね!(少なくとも今週中に!)
次回は・仲介手数料が無料で問題ないのか? ・仲介手数料はどうすればいいのか?
といったことを解説していきます。
(2022.6.21追記 後編はコチラ)
お読みいただきありがとうございました。
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